髪の毛に寄生するアタマジラミの中で駆除薬が効かないタイプが急増し、全体の1割を超えていることが国立感染症研究所(東京都新宿区)の調査でわかった。アタマジラミは病気を媒介しないが、頭皮をかきすぎて感染症になったり感染した子が学校で避けられたりしかねない。各地の保健所は薬を過剰に使わないよう専用のくしを使った駆除方法の普及に乗り出した。
感染研昆虫医科学部は、06年から全国の保健所などを通じて集めたアタマジラミの遺伝子を解析した。駆除薬が効かない抵抗性のタイプは06年は4.76%だったが、07年6.18%、08年11.49%と倍以上に増えていた。3年間に届いた28都道府県分のうち13都道県分で抵抗性が確認され、広がりが懸念されている。
国内で製造承認されている駆除薬は、シラミの神経細胞にある特定たんぱく質に作用し殺虫効果を持つ。しかし抵抗性のシラミは、このたんぱく質の構造を決める遺伝子の一部が従来と異なっていた。
昆虫医科学部の冨田隆史室長は「90年代から米英仏など一部先進国や途上国で抵抗性のアタマジラミが問題視されるようになり、米国では抵抗性が全体の90%近くに上る。対策を講じないと日本でも流行の恐れがある」と話す。
東京都には98年度にアタマジラミについて1046件の相談が寄せられた。00年度までに半減したが、06年度1125件、07年度1935件と急増した。都内の保健所は学校や保護者、理容師ら向けにパンフレットを配り、全国の自治体の講習会などに駆除方法を伝える担当者を派遣している。
池袋保健所で環境衛生を担当する矢口昇さんによると、保護者から「感染した子を登園させないで」と求められた保育園や幼稚園からの相談も多い。矢口さんは「子どもの髪を専用のくしで丁寧にすいてあげることで、薬を使わずに駆除できる。感染源の子を探すなどの過剰反応は避けて欲しい」と話す。
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