東京電力柏崎刈羽原子力発電所敷地内の倉庫で11日夜に火災が起きたことを受け、泉田裕彦知事は13日、7号機の運転再開を諮る21日の県議会全員協議会を延期することを即決し、安全確保にこだわる姿勢を示した。なぜ火災が続発するのか――。再開賛成派、反対派双方に戸惑いが広がった。
「発電所施設とは違う場所でしたが、火災を起こし、反省しております」。13日午後、県庁防災局長室。同原発の高橋明男所長が謝罪すると、再発防止を申し入れた飯沼克英局長はくぎを刺した。「県民から見て、発電所全体の設備が安全に運営されていることが必要です」
中越沖地震後に同原発内で起きた火災は9件目。先月5日の8件目の火災は、1号機原子炉建屋内でのもので危険性が高かったが、今回は防護区域外で、危険性が低いとの見方もあった。
しかし泉田知事は報道陣に対し、「起きるたびに対処するというのではなく、誰に責任があるのかということをしっかり明らかにしていただく必要がある」と厳しい態度に出た。
経済産業省原子力安全・保安院からも厳重注意を受け、事態を重く見た東電は、原子力部門トップの武黒一郎副社長を14日に県庁に派遣し、森邦雄副知事に謝罪することを決めた。
泉田知事が、運転再開にも直結する県議会全員協議会の開催の延期を決断した背景について、ある県幹部はこう解説する。「確かに前回の火災より危険性は低いが、このまま突っ走ってゴーサインを出したら『拙速だ』と県民から批判されかねない」。地域の最終的な責任者として、安全確保と住民の合意を優先する姿勢にこだわってきた知事にとって、ここで厳然とした態度をとらないと、これまで築いてきたイメージを下げることにつながる。
県は、柏崎市消防本部に対しても、東電に再発防止を指導するよう勧告した。
複数の関係者の話では、原因究明や議会との調整などに一定の時間がかかることが見込まれるため、県議会全員協議会の日程は大幅にずれ込みそうで、運転再開が来月以降にずれ込むのは確実とみられている。
●2首長、再開容認堅持
会田市長は13日、報道陣に対し「直接人がからんだ火災ではない。再開同意は撤回しない」。品田村長は「タイミングは悪いが、今回は機械のトラブル。再開容認の考えに変わりない」と述べた。
これに対し、原発反対地元3団体の高橋新一市議は「3月5日の火災による作業中止命令が解除されて何日もたたないのに、この始末とは。火災要因がほかにもあり、それが大きな事故につながる予感もする」「原発の安全はどうなっているんだという気持ちだ」と語気を強めた。
運転再開を目前にした重要な時期に、なぜ火災を防げなかったのか。理由の一つに、予想外の場所から出火したことが挙げられる。
同原発では、発電所施設の原子炉やタービンの建屋はフェンスや防犯設備で守られた防護区域内にあり、厳しく管理されている。一方、今回の火災が起きた予備品倉庫は防護区域の外にあって「早期異常発見の体制を含め、管理レベルに差がある」(東電)といい、設備の点検はしていなかったという。
今回の火災は24時間運転の空調機(92年5月設置)のモーター付近が過熱して出火したとみられるが、東電によると、この部分は年2回の定期点検の対象外。空調機は「汎用品」としての運用で、不具合が見つかれば部品を交換する手順だが、設置以来、交換していなかったという。
また、東電は3月5日の火災後、作業員の安全教育などの再発防止策を進めてきたが、「作業の改善」に主眼が置かれ、今回のような設備からの出火は想定せず、部品の定期交換などの予防策はとっていなかった。
同原発の高橋所長は13日、発電所施設以外の事務所設備を含めて総点検する考えを示した。
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000000904140005-asahi.com

