受動喫煙による健康被害を防ぐため、禁煙ルールを厳しくする動きが顕著になっている。
厚生労働省は、学校や病院、飲食店や遊技場、交通機関など、不特定多数の人が利用する場所では原則として全面禁煙にするよう、全国の自治体に通知した。
健康増進法にもとづく措置だ。これまでは喫煙区域を設ける「分煙」でもよいとしてきたが、受動喫煙を防ぎきれないため、ルールを強化する。
ただし、罰則はない。飲食店などで営業に深刻な影響が出る場合は、暫定的に分煙も認める。
また、労働安全衛生法でも、職場の禁煙を事業主に義務づける方向で検討が進んでいる。
背景にあるのは2005年に発効した「たばこ規制枠組み条約」だ。公共施設などで受動喫煙を防ぐことが、大きな柱として盛り込まれた。
さらに、07年には「全面禁煙以外の措置は不完全」との指針が採択され、条約加盟国は2月までに対策を求められていた。
自治体では、神奈川県が罰則付きの「受動喫煙防止条例」の4月施行を決めるなど、先んじて動き出している。これに対して厚労省の通知は強制力を持たないが、人が集まる場での原則禁煙ルールを全国に広げることになる。
スモーカーが出す煙は、たばこを吸わない人にとって不快なものだ。受動喫煙が健康被害につながるとのデータは多い。多数の人が集まる所で禁煙を原則化していくのは進むべき方向と言えよう。
日本は“喫煙大国”とも呼ばれている。特に成人男性の喫煙率は30%台半ばで、先進国の中では相当に高い。
ただ、10年前には50%近くあったものが徐々に低下しており、たばこ広告の規制や健康被害の警告の効果が表れてきた。
また、10月からは、たばこの値段が1箱あたり約100円値上げされる見通しだ。過去にない大幅な値上げを機に、禁煙に踏み切る人も少なくないだろう。
こうした複合的な取り組みを着実に進めることが大切だ。
その際に気をつけなければならないのは、行政が「健康」を押しつけることである。頭ごなしに禁煙運動を進めるようなやり方は避けるべきだ。
公共空間や職場の禁煙も、愛煙家や飲食店などの理解と協力を得ながら進めるのが基本だろう。
煙がなくなる代わりに、社会が息苦しくなっては困る。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/20100301-567-OYT1T01278.html -gooニュース

