アメリカで最も普及している除草剤の1つに、オスのカエルを産卵できる身体へと変化させる働きがある可能性があるという最新の研究が発表された。
アメリカの農地で雑草の防除に広く使用されているアトラジンは、動物の生殖系の機能を妨げる内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンの一種である。過去の研究では、アトラジンによってオスの両生類にメスの特徴が現われる可能性があることが示されている。例えば、アトラジンに曝されたオスのカエルはテストステロンの分泌量が低下し、精子の数が減り、さらには交尾の習性が変化してメスよりオスを相手に選ぶようになる。
今回の研究では、この化学物質によってオスのカエルが完全なメスの機能を備える身体へと変化し、両生類の数が世界中で減少する一因となる可能性があることが明らかになった。
カリフォルニア大学バークレー校の生物学者で研究を率いたタイロン・ヘイズ氏は、アトラジンが及ぼす影響をテストするために、遺伝的にオスのアフリカツメガエル40匹を、孵化してから成体になるまで濃度0.003%のアトラジン溶液の中で飼育した。すると、全体の10%にあたる4匹が通常のメスとまったく同じ姿へと成長した。
ヘイズ氏の研究チームがこの4匹のうちの2匹を解剖したところ、卵巣があるにもかかわらずDNAはオスのままであることが確認された。残りの2匹はオスと交尾して産卵し、その卵から孵化したカエルは無事に成長した。産まれたカエルはすべてオスの染色体を持ち、健康状態にも問題はなさそうだという。
また、アトラジンに曝されたが卵巣が発達しなかったカエルのうち、80%は精子を作ることができなかった。
この除草剤がこれほど大きな影響を及ぼすことに自分自身もいささか驚いているとヘイズ氏は話す。「別の原因で説明できる可能性を常に考えておくべきなのが科学というものだ。しかしアトラジンに関しては、これが原因だとしか思えない」。同氏はナショナル ジオグラフィック協会のエマージング探検家である。
この化学物質が人間に与える影響についてはあまり研究例がないが、最近の研究の中にはアトラジンの使用と乳ガンを関連付けるものがある。アメリカ環境保護庁は最近になって、アトラジンが人間にどのような害を与えるか再調査中であると発表した。ヨーロッパ連合では2004年にアトラジンの使用が禁止されている。
http://news.goo.ne.jp/article/nationalgeographic/life/20100302001-ng.html -gooニュース

